「何度練習しても自転車に乗れない。」
「字を書くのが極端に苦手。」
「ボール遊びになると、いつも失敗してしまう。」
そんな子どもに対して、「不器用なだけ」「もっと練習すればできる」と思ったことはありませんか。
実は、その背景にはDCD(発達性協調運動障害)という発達障害が隠れていることがあります。
DCDは決して珍しい障害ではありませんが、知名度が低いために見過ごされやすく、本人も周囲も気づかないまま「努力不足」と受け取られてしまうことも少なくありません。
この記事では、DCDとはどのような障害なのか、どのような困りごとがあるのかをわかりやすく紹介します。
DCD(発達性協調運動障害)とは?
DCD(Developmental Coordination Disorder:発達性協調運動障害)とは、体を思ったように動かすことが難しく、日常生活や学校生活に支障が生じる発達障害です。
これだけ聞くと「運動音痴ってこと?」と思われるかもしれませんが、実際は「母乳やミルクの飲み込みが上手くできず体重が減少し、検査入院になる」「何もないところで何度もつまずいてケガが絶えない」「階段が怖くて一人で降りられない」といった状況が起こっています。
「運動が苦手」というよりも、
- 動きを覚えることが難しい
- 思った通りに体を動かせない
- 動作をスムーズに行えない
といった特徴があります。
知的な発達に遅れがない子どもでも見られるため、「なぜこれだけできないの?」と誤解されやすい障害でもあります。
さらにDCDは、約60~80%の割合で成人期以降も残存するとされ、大人になっても困っている人は多いのが現実です。
「新しい作業が覚えられずに就労できない」「作業を覚えても時間がかかって仕事にならない」大人になってからは、こういった困難が待ち構えています。
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▽雑談▽
DCDの記事を書こうと思ったのは、DCD学会に参加したことがきっかけでした。
私が働く放デイで、何もないところで何度も転倒する児童がおり、そこで調べて初めてDCDを知りました。
学会に参加するまでは「めっちゃ運動音痴ってことかな」程度の認識だったんですが、学会が終わる頃には「これは本人の努力云々じゃない。DCD支援の枠組みが必要だ」と気づきました。
学会で得た情報を勤務先に共有すると、やはり「知らなかった」という声が多く、まずはDCDのことを知ってもらうことから始めなければと思ったんです。
DCDは決して珍しい障害ではありません
DCDは決して珍しい障害ではありません。
海外の研究では、およそ5〜6%の子どもにみられると報告されており、30人学級であれば1〜2人程度いる計算になります。
さらにASD(自閉症スペクトラム障害)では約80%の割合で・ADHDでは約50%の割合で、DCDが併存していると言われています。ASDに併存する障害では、DCDがトップクラスです。
しかし、名前を知っている人はまだ多くないのが現実。
発達障害を早期に発見して速やかな支援を図るため、全国では5歳児健診が広まりつつあります。その健診のキーパーソンである保健師ですら、DCDを知っているのは3割ほどというデータも。
「医師に〈うちの子DCDじゃないですか?〉と尋ねて初めて、DCDの診断がつきました」という親御さんもいらっしゃいます。
知名度が低いということは、DCDの支援もまだまだ一般的ではありません。
DCDの子どもに対して、
「不器用」
「運動音痴」
「やる気がない」
と受け止められてしまうことも多く、適切な支援につながりにくい現状があります。
DCDの子どもによく見られる困りごと
DCDの困りごとは、体育だけではありません。
例えば、
学校生活
- 字を書くのに時間がかかる
- 定規をうまく使えない
- はさみやのりが苦手
- 体育が苦痛
身の回りのこと
- ボタンを留められない
- 靴ひもが結べない
- 箸を使うのが苦手で給食が苦痛
- 着替えに時間がかかる
遊び
- ボールを投げる・捕るのが苦手
- 縄跳びが苦手
- 自転車に乗れない
- 工作が苦手
このような困りごとは本人の努力不足ではなく、DCDの特性による可能性があります。
支援級に通っている場合、科目によっては交流級で授業を受けることもありますよね。交流級で受ける科目が「体育」「図工」「音楽」といった、DCDの子どもにとっては苦手な科目ばかりというのも、珍しくありません。
「練習すればできる」は本人を苦しめることも
もちろん、練習によって上達することはあります。
しかし、DCDの子どもは、人よりも多くの時間や工夫が必要になることがあります。
そのため、
「何回言ったらできるの?」
「もっと頑張って」
「みんなできてるよ」
といった言葉を繰り返し受けることで、
- 自信をなくす
- 新しいことに挑戦しなくなる
- 運動や学校が嫌いになる
といった二次的な困難につながることがあります。
だからこそ、「できない理由」を知ることが大切なのです。
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まずは「知ること」が支援の第一歩
DCDは外見からはわかりにくく、「見えない困りごと」を抱えている子どもも少なくありません。
大切なのは、「どうしてできないの?」と責めることではなく、「何に困っているのだろう?」という視点を持つことです。
DCDを知る人が増えることで、子どもたちが安心して生活できる環境づくりにつながります。
まとめ
DCD(発達性協調運動障害)は、「ただの不器用」ではなく、体を思うように動かすことが難しい発達障害です。
知名度はまだ高くありませんが、決して珍しい障害ではなく、多くの子どもたちが日常生活の中で困りごとを抱えています。
まずはDCDという存在を知り、「できない子」ではなく、「困っている子」という視点で子どもたちを見ることが、支援の第一歩になるでしょう。

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