はじめに
「エリクソンの発達課題」といえば、乳児期や思春期の子育てでよく登場しますが、実は人の成長は大人になってからも続くんです。
今回は、これまでご紹介してきた0〜18歳までの前半4段階に続く、大人のための4つの発達課題を、わかりやすくまとめてご紹介します。
※情報媒体によっては、提示されている年齢が当ブログと異なる場合があります。当ブログは、あくまでも目安の年齢を記載していますので、ご了承ください。
① 成人期(20代〜30代)
発達課題:親密性 vs 孤独
この時期のテーマは【誰かと深い関係を築けるか】。
恋愛や結婚、友人関係、職場での人付き合いなど、“心を開いて関われる相手”がいることが、自分の安定につながります。
失恋や人間関係のトラブルを経験しながらも、自分を大事にし、相手との信頼関係を育てることで「親密性」が育まれます。
▶孤独感が強くなると、「どうせ人は裏切る」と人と距離をとってしまいがちに。
② 壮年期(40代〜50代)
発達課題:生殖性 vs 停滞
この時期のテーマは【次の世代に何を残すか】。
子育て、地域活動、仕事での後進育成など、“自分以外の誰かのために力を注ぐ”経験が、生きがいにつながります。
たとえ子育てをしていなくても、「誰かに何かを伝える」「支える」行動が「生殖性(Generativity)」として満たされていきます。
▶反対に、自分のことだけで手一杯になると、「なんのために働いているのか」「虚しい」と感じやすくなります。
③ 老年期(60代〜)
発達課題:統合性 vs 絶望
この時期のテーマは【自分の人生を肯定できるか】。
定年後や子どもの独立など、大きな変化を迎える時期。
振り返って「あれでよかった」「いろいろあったけど悪くなかった」と思えたら、心の統合が進んだ証です。
▶「もっとこうしておけば…」「何のための人生だったんだろう」と後悔ばかりになると、“絶望感”に包まれることも。
④ 老年期後期(晩年)
※エリクソンの妻ジョーンが加えた補足段階ともいわれます
発達課題:自己超越 vs 自己吸収
人生の終盤、自分の存在を「他者や社会全体」「未来」に重ねていく段階です。
「自分がいなくなっても大丈夫」「大切なものは次世代に託せる」と思えると、“安心して手放す”準備ができていきます。
▶反対に、過去や不満にとらわれると、自己中心的になったり、心が閉じてしまうことも。
さいごに
エリクソンは「人の成長は生涯続く」と考えました。
子どもたちの発達課題を知ることは、同時に私たち自身の心の課題を見つめるヒントにもなります。
誰でも完璧には乗り越えられませんが、「今の自分にとっての課題はどこだろう?」と少し意識するだけで、心の見通しがグッとよくなるはずです。
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