【本日のお悩み】
○服のタグが気になって、着替えをすごく嫌がる
○掃除機をかけると耳をふさいでパニックになる
○手がちょっと汚れただけで大騒ぎ
お悩み解消ヒント:まずは「感覚過敏」の理解から
やたら着替えを嫌がったり、ちょっとした音や汚れで大騒ぎしたり……そんな姿に「わがまま?」「育て方が悪い?」と感じてしまったこと、ありませんか?「なんで普通にできないの?」と戸惑ったこと、ありませんか?
実はその背景には、【感覚過敏】という見えづらい特性があるかもしれません。
感覚過敏とは
感覚過敏とは、音・光・肌ざわり・におい・味など、五感に対して極端に敏感な状態を指します。
それだけではなく、「体のバランス感覚」や「自分の身体の位置を把握する感覚(固有覚)」にも関係してくることがあります。
例えば、こんなケース
聴覚過敏:教室のざわざわ、掃除機の音で泣き出してしまう
触覚過敏:タグや素材が気になって服を着られない。物に触れない
視覚過敏:蛍光灯や太陽の光がまぶしすぎて目を開けられない。特定の蛍光灯が苦手な場合も
味覚過敏:特定の食材や味に拒否反応を示す。味が混ざることが嫌いな場合も(ごはんとおかずを一緒に食べられない等)
嗅覚過敏:特定のにおいに拒否反応を示す
こうした過敏さは、“甘え”でも“わがまま”でもなく、生まれつきの脳の感じ方の違いなんです
困っているのは、誰よりも“本人”
感覚過敏の子どもは、日常のなにげないことが「つらい」「怖い」と感じることがあります。
でも、うまく説明できなかったり、親に理解されないと、さらに不安が強くなってしまうことも。
「どうしてこんなことで泣くの?」「他の子はできるのに」そんなふうに言われると、子どもは「自分はダメなんだ」と感じてしまうかもしれません。
大切なのは、「できない」ではなく「つらい」んだという視点で見ること。
本人が一番、困っているのです。
具体的な方法:寄り添いながら「調整」していく
感覚過敏は“直す”ものではありません。
でも、子どもに寄り添いながら「調整」していくことはできます。
ここでは、家庭でできる実践的な工夫と、周囲との連携についてお話します。
家庭でできる工夫
刺激をなるべく減らす環境づくり
・タグのない服・やわらかい素材を選ぶ
・イヤーマフやノイズキャンセリングイヤホンを用意する
・明るすぎる照明は避けて、自然光中心に
・靴下や下着は「本人が選んだ安心できるもの」を使う
「共感の声かけ」で気持ちを落ち着かせる
「うるさかったね」「この服ちょっとチクチクするね」
そんなふうに感覚そのものを否定せず、わかろうとする姿勢が大切です。
前もって予告&見通しを持たせる
「あと5分で掃除機かけるね」「今日は給食にトマトがあるかも」など、心の準備ができるように伝えてあげましょう。
“安心できる逃げ場”をつくる
家や外出先に、音や光から離れられるスペースを準備しておくと、子どもが自分で気持ちを調整しやすくなります。
施設によっては「この場所は匂いがします」「この場所は暗いです」といった案内を提示しているところもあるため、事前にチェックしておくといいかもしれません。(参照:九州国立博物館あんしんマップ)
周囲との連携
家庭だけでなく、保育園・幼稚園・学校と協力することも大切です。
でも、「感覚過敏」と言ってもまだ知らない人が多いのが現実。
先生や支援者には、こんなふうに伝えてみてください。
・「この子は音やにおいにすごく敏感で、強いストレスを感じやすいです」
・「大きな音や着替えが苦手なので、事前に説明や選択肢があると助かります」
【特別扱い】ではなく【合理的配慮】として、周囲に理解を広げていけたら素敵ですね。
お役立ちグッズ紹介
↓子ども用のイヤーマフ。色の種類が豊富で、側面にイヤーマフであることがわかりやすくデザインされています。
↓服のタグは切ってもいいですが、上から布で隠す方法もあります。アイロン不要のシールタイプは手軽でいいですね。
さいごに
感覚過敏の子どもは、たしかに生きづらさを感じる場面が多いかもしれません。
でも、その繊細さは、音楽・アート・人の気持ちをくみ取る力など、豊かな感受性として花開くこともあります。
だからこそ、こう伝えてあげてほしいのです。
「あなたの感じ方は、特別で大切なものだよ」
「つらいときは助けるから、一緒に考えていこうね」
子育てに正解はありません。でも、「理解すること」「寄り添うこと」から始まるやさしさは、子どもにとって一生の安心につながります。
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