子どもは「世界の中心が自分」だと思っている。それでも、成長していく。

子育てヒント
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【本日のお悩み】
○子どもが自己中心的で困ってる。小学校でやっていけるか心配
○人の気持ちがわからないみたいで、幼稚園で他の子を泣かせてしまった
○保育園でおもちゃをずっと独り占めしてるらしい

お悩み解消ヒント:それは、子どもが成長するための通過点

子どもは、「世界は自分のために回っている」と思って生きています。
おもちゃを独り占めしたり、「ママはずっと自分と一緒にいてくれる」と信じて疑わなかったり。自分が経験したことは他の人も経験していると思っているし、自分が知らないことは他の人も知らないと思っています。
そんな姿を見ると、「自己中心的」「わがまま」と感じるかもしれません。
でもそれは、“子どもだからこそ”持っている、健全な感覚なんです。

 

自己中心性は、成長の通過点

発達心理学者ピアジェによれば、幼児期の子どもは「自己中心性(egocentrism)」の中で生きています。
これは、“自分以外の視点がある”ということを、まだ知らない状態です。
「ママが疲れている」
「お友達が悲しんでいる」
そんなことに“気づけない”のではなく、“気づく力が育っていない”だけ。
自己中心的に見える行動も、成長の一過程なのです。
(社会性の芽生えには、自己中心性→他者中心性→社会性の芽生えという流れがあります。)

世界は、自分のためだけじゃない。子どもが気づく瞬間

成長とともに、子どもは少しずつ「世界の中心は自分ではない」と気づき始めます。
たとえば…
▶遊具を独占しようとして、お友達に怒られたとき
▶下のきょうだいが生まれて、ママが自分ばかりを見てくれなくなったとき
▶お友達が自分の思い通りに動いてくれなかったとき
そのとき、子どもは軽くショックを受けます。
「どうして?」「ママは僕の味方じゃないの?」「わたしのこと、好きじゃないの?」
自分がすべてだと思っていた世界が、少しずつズレて見えてくる。
時には、絶望や寂しさのような感情を抱くこともあります。「世界に裏切られた」と感じることも、珍しくありません。

それでも、子どもは成長する

大人の手助けがなくても、子どもは自然と受け入れていきます。「自分だけじゃない」という現実を、少しずつ理解し始めるんです。
▶他人の気持ちに寄り添おうとする
▶譲り合うことを覚える
▶自分の思いをコントロールしようとする
その姿は、まさに「人と共に生きること」を学んでいる途中。
子どもは、自分だけの世界から、他人と共にある世界へと歩み出しているのです。

 

具体的な方法:親にできることは?

子どもが傷つくことを避けるのではなく、傷ついたときにそばにいてあげる。それが、安心して“世界”を学ぶ土台になります。
子どもが「自分の思い通りにならない世界」に直面したとき、大人にできることをまとめました。

 

「ダメ」と言って否定するのではなく、気持ちを受け止める

子どもは既に「思い通りにならない世界」にショックを受けています。そのショックを否定せず、「あなたはそう思ったんだね」「こんな風に感じたんだね」と共感してあげることで、子どもは安心します。

「あの子も使いたかったんだね」と、他者の視点を伝えてあげる

他者視点がまだ育っていないため、「空気を読む」「察する」ということはできません。具体的に「あの子も同じおもちゃが使いたいかもよ」「ブランコに乗りたい子がいるみたいだよ」と、伝えてください。

「あなたも大事。お友達も大事」と、バランスのメッセージを伝える

どちらかに偏ったメッセージではなく、両者がそれぞれ大切であることを伝えます。子どもは「ママだけは味方だと思ってたのに…」と思うかもしれませんが、ここは子どもが学習して成長していく場面です。成長を応援する気持ちを込めてください。

 

お役立ちグッズ紹介

↓『ぼくはあるいた まっすぐ まっすぐ』という、昔からある絵本。ご存知の方も多いかもしれません。
主人公の男の子が初めて一人でおばあちゃんの家に行くというストーリーですが、実は他者と世界の広がりが描かれています。
優しいタッチの絵と、主人公の「ぼく」視点で展開されていく話は、子どもも楽しんでくれるのではないでしょうか。

Amazon.co.jp: ぼくはあるいたまっすぐまっすぐ (世界こども図書館B) : マーガレット・ワイズ・ブラウン, 坪井 郁美, 林 明子: 本
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さいごに

「子どもが自己中心的すぎて困る」と感じるときもあるかもしれません。でもそれは、ちゃんと“子どもとして育っている”証拠
世界を少しずつ広げていく中で、子どもは“自分が世界のすべてではない”ことを知り、それでも前に進んでいきます。
その過程は、「大人になるためのリハーサル」。子どもの自己中心性は、恥ずかしいことでも悪いことでもないんです。
私たち大人もまた、同じように成長してきたことを思い出しながら、子どもたちの歩みを、優しく見守っていきたいですね。

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